不要不急の豊かさ
学生相談室カウンセラー 豊原響子
あっという間に6月がやってきました。気温も上がってきましたが、生活や睡眠のリズム、からだや気分の調子などはいかがですか?当面の間はWebでの授業が続きそうで、もしかすると緊張や集中の糸が切れそうなひとや、ドッと疲れが出てきたひともいるかもしれませんね。
なかでも新入生の皆さんのなかには、入学早々このような状況になり、大学生になった実感がわかなかったり、大学生活への不安が募っていたりする方も少なくないのではないかと思います。
学生相談室では、そういった不安や困りごと、自分の性格や家族関係の悩みなど、どんなことでも大切に一緒に考えていきたいと思っています。初めて利用される際はひとまずお電話で、どうぞお気軽にご相談ください。また、新型コロナウイルス特設サイトでもいろいろなストレス対処法を紹介しています。よかったらそちらもご覧ください。
さて、ここ数ヶ月の間は日常生活における「不要不急」の行動の自粛が要請されるようになりました。確かにこのことは感染拡大を防止するために必要不可欠な対策であり、緊急事態宣言が解除されたからといって、すぐに気を緩めるわけにもいかないだろうと思います。
一方で、数ヶ月前までのわたしたちにとっては、まさにこの「不要不急」の様々な営みこそ、他者や自然とつながり、こころの栄養をたくわえ、日々の生活を支えるうえで大切なものだったようにも思われます。当たり前にあると思ってきたものが当然でなくなった今は、身近に残された「不要不急」の豊かさに今一度思いを馳せてみる貴重な機会かもしれません。
直接ひとと接することはまだ難しい状況が続きますが、散歩中にマスクを外して外の鮮やかな空気を味わったり(空気のなかにも緑の匂い、雨の気配、土の質感、いろいろありますね)、窓を開けて吹き込む風から季節の移ろいを感じたり、じっくりストレッチをして自分の身体と向き合ったり…みなさんも、日常生活のなかで安全に行える範囲で、ささやかでも豊かな時間を探してみませんか。
(No.80 2020年6月15日)