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身近なグリーンを楽しんでみませんか?①

​学生相談室カウンセラー 松本知子

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 新型コロナウイルスにより、これまでの生活が一変した中、もうすぐ前期が終了しますね。学生さんも教職員も双方に大変な状況だったと思います。皆さん、お疲れ様でした。

 「ステイホーム」という言葉もすっかり定着しましたね。居心地のいい空間を作ることの大切さを、新型コロナウイルスは再認識させてくれたように思います。何気なくやっていた行動が、心地良く過ごすためのものだったと後で気付くこともありました。

 私は4月頃から軽い気持ちで大根やニンジンを室内で水耕栽培し始めたのですが、それもその試みの一つではないかと思います。前からお花やグリーンのある暮らしに憧れていましたが、実際となると、お花を買う余裕を持ちにくく、ハーブ類を育てようとしたものの上手くいかず、自分は向いてないという気持ちでした。

でも、ちょっとした思い付きで、大根を料理に使った際に、ヘタを捨てずに水に漬けてみたところ、葉がちょっとずつ伸びてくれました。その成長ぶりが嬉しく、水を朝晩替えて様子を見守っていました。結構順調に伸びていってたのですが、2週間ぐらいしてダメになってしまいました。

 次にニンジンの葉を同じように育ててみたところ、初代は1か月と少しでダメになり、今は2代目を育てています。こうした水耕栽培のことをリボーン・ベジタブル(再生野菜)、略してリボベジと言うそうです。

 豆苗を育てるのもリボベジです。私にとって豆苗は育ったら料理に使うというイメージですが、ニンジンの方は葉の成長を見守るのが楽しく、鑑賞して楽しむことがメインになっています。グングン育っていくのでニンジン、お勧めです。

また、学生相談室の畑からもらったミントも水に差していると、白い花が咲きました!水を替えるだけの手軽さがいいなと思っています。

 芽が出て伸びていく様子を見るのは楽しいですよ。皆さんも始めてみませんか?

 

                            

                             

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芽が出るかな?

芽が出てきた!

ぐんぐん成長中!

(No.81 2020年7月15日)

「ハレ」の日のすすめ

「ハレ」の日のすすめ

​学生相談室カウンセラー 友久 茂子

 2020年度の前期はキャンパスが閉鎖され、授業はすべてリモート化され、ただただ課題に追いかけられて、「こんなにしんどい大学生活はなかった」と思った人も少なくないでしょう。

 

ようやく前期が終わって夏休みになっても、例年なら「さあ、旅行だ、アルバイトだ、合宿だ」など、普段できない計画を立てて心躍らせていたはずですが、今年は何とも心もとない日々を過ごした人が多いと思います。そしていよいよ後期がはじまりますが、皆さんの心は重苦しくはないでしょうか。

 日本社会では、昔から「まつり(祭)ごと」を繰り返してきました。誕生祝から始まって、入学式や卒業式、成人式や結婚式、お葬式や法事も「まつり(祀)ごと」です。1年間ではお正月やお盆やお祭りもそうです。民俗学では非日常の特別な儀式や儀礼を「ハレ」と呼び、「晴れ着」を着て神仏に祈りをささげ、宴会を持つことが多いのです。

 

 それに対して「ケ」は日常です。「ケ」をリセットさせるために「ハレ」の日があり、「ハレ」を楽しみにして日常「ケ」を生きる活力としてきました。

 

ところが今年はほとんどの「ハレ」の行事が中止され、のっぺりとした日常だけになりました。日本全国の有名なお祭りが三密を避けるために中止され、お盆の帰省もできなかった人がいたでしょう。

 卒業式も入学式も多くの学校で中止になり、4年に1度のスポーツの祭典も実施されませんでした。その結果、人々は活力を失い経済活動も低下して、日常生活にさえ苦しむ人たちが出てきました。

そこで提案です。皆さん!自分なりの小さな「ハレ」の日を持ちましょう。

感染予防をしながらも家族や友人の誕生日を祝ったり、小旅行やお食事会などして非日常を体験するのです。そうすればきっと、あなたにも社会にも活力が湧きあがることでしょう。                      

 (No.82  2020年9月16日)

水槽の中のカエル

水槽の中のカエル

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​学生相談室カウンセラー 青柳 寛之

​ ずいぶん前になりますが、アマガエルを飼っていました。2年ほど生きていたのですが、ある時から、どうも色つやがよくないのです。まあ、こんな風に人がつくった水槽にいるんだから仕方ない、自然の中にいたらもっときれいな色なんだろうな、と思ったものです。

 その後、自分にとっての環境、ということを考えるようになりました。温度や気圧(天気)、生活のスピードやリズム、いつも話をする人、食事、などなど、当たり前のこととして空気のように前提にしているものたちです。

 

これはカエルにとっての水槽のようなものですね。いつもあるものなので、ちょっとした変化で、私たちの生き物としての「色つや(必ずしも見た目だけを指すわけではありません)」がよくなったり、悪くなったりするのではないでしょうか。

 今回のコロナ禍では、私たちの「水槽の環境」も微妙に、または大きく変化しています。人と直接会って交流することがずいぶん制限されましたが、それで一番割を食ったのが、一見意味のないようなやりとりです。それを通じていかに多くのことがなされているか、身に染みて感じた人もいるでしょう。

 

対面授業と非対面授業で違う点を、改めて挙げてみるのもいいかもしれません。また、身体の動かし方の違い、ということもあります。登校すれば、なんやかやと動いていたはずです。そして、春はともかく秋に大きな変化(対面授業の再開)があることは、例年のリズムとは違うものです。

 これらの影響は、ほとんど意識されないか、「モヤモヤ」を感じる程度のことも多いでしょう。頭では「いつも通り」に心身が動くことを期待しつつも、気づかないうちに「色つや」が悪くなっているかもしれません。今のあなたはどうでしょう。

 

心身の小さなサインに耳を傾け、休んだり、やり方を変えたり、愚痴を言ったり、助けを求めたりすることを、意識してやってみてはいかがでしょう。

 

それは「水槽の環境」の変化に気づき、働きかけることでもあります。

                       

 (No.83  2020年10月22日)

腰痛のワンちゃん

腰痛のワンちゃん

​学生相談室カウンセラー 西浦 太郎 

 うちの近所にはチワワとダックスフンドから生まれた犬がいて、散歩をしているとよく出会います。いわゆる「チワックス」でして、その名の通り、チワワの顔にダックスフンドのたらんと垂れた耳が、とても可愛い犬です。散歩をしていると、誰もが振り返る大変なお美人さんです。

 

ただ、最近、年をとり、長い腰が相当な負担になり、辛そうに歩いています。

これは胴体の長いダックス系の宿命とのことです。

もともと、チワワはメキシコ系、ダックスはドイツ系で色々な違いがあります。例えば、チワワは、1日1〜2キロが必要な運動量とされ、室内の運動で済みますが、ダックスは、狩猟犬なので活発に長い距離を歩いたり、走ったりすることが必要だそうです。

 

必要とする運動量が、犬の種類によって全然、違うので、時折、あの犬は一体、どのように自分の中で折り合いをつけているのかと思います。

 

「チワワ系だから、家にいたいのだろうか」、「いやいや、ダックスだから、きっと走り回りたいに違いない」、「じっとしていても、突然、ダックスの血が騒ぎ出して走り出して、気味悪がられるのと違うやろか」、「飼い主が、面倒くさがりなら、散歩もあまり行かないか」などなど・・・。

 

結局、「犬の散歩量は、ワンちゃんの性格や飼い主の性格や生活によって決まる」との結論にたどり着きましたが・・・。

 

チワックスのように二つの異なる要素を自分の中に持つことは、大変なことなのかもしれません。

 

ブリーダーの中には、「可愛いくて、売れるから」とあまり考えずにミックス犬を産ませる人がいますが、犬の体格や性格がその後の犬の人生に大きな影響を与えると複雑な気持ちになります。

 

ただ、生まれてきた犬には罪はなく、授かった命そのものは理由なしで大事にすべきだと思います。大事なのは、時間がかかっても、その犬の特性や体型にあったものを本人(本犬)と周りの人が一緒に探すことなのかもしれません。

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左が、チワックス、右が、チワワ。

(No.84  2020年12月1日)

ど根性トマト

ど根性トマト

​学生相談室カウンセラー 渡里 千賀

 昨年の秋に話題になった「ど根性大根」をご存知ですか?「JR大阪駅前の歩道橋のたもとで、アスファルトを突き破って力強く葉を広げる大根が見つかった」というニュースが流れ、「どうしてこんな所に⁉」「すごい生命力!」などとネットで評判になりました。

 

なぜ街中に生えてしかも大きく育つことができたのか?種は飛んできたのか?鳥が運んできたのか?はたまた通行人の衣服に付いてきたのか?元は近く現場のデパ地下のカイワレ大根かも‥などと様々な憶測が飛び交っています。

 

建設局の説明によると、どうやら地面のコンディションが大きく関わったようです。普段は厚いブロックを敷き詰めた歩道ですが、隣接する百貨店の改築工事で一時的に比較的柔らかいアスファルトに舗装されていたことが大きい要因となったようです。

 実は、学生相談室でも同じようなことが起こりました。この夏に18号館屋上の畑でトマトを栽培していたのですが、11月に1階西口に置いてある植木鉢の中で小さなトマトが2つ実をつけていたのです。

 

植木鉢にはもともと夏水仙などの花の寄せ植えをしていて、季節外れということもあり、トマトは実がなるまで誰にも気づかれないまま、ひっそりと育っていたのです。

このような畑で栽培されるはずの野菜が、都市部のアスファルトを突き抜けて成長するさまは「ど根性野菜」などと呼ばれています。

思いがけない所に現れ、厳しい環境条件下でも負けずに育つ強い生命力に人々は心魅かれ、応援したくなるようです。

時と場所、自然現象、土のコンディション、人を含めた生物の移動などの偶然がいくつも重なり、「ど根性野菜」のようなものが生まれたり、思いがけないことが起きたりします。

 

このような奇跡は、生物と生物、生物と自然、生物と無生物が出会い、対面し直接触れ合わないと起こりえないし、気づけないものなのです。

 

感染防止のため移動や対面を自粛する毎日が続く中、小さな奇跡をけっこう見逃しているかもしれません。

 

この閉塞した日々に一日も早くピリオドが打てることを願ってやみません。

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(No.85   2021年1月18日)

「巣ごもり」から飛び立つとき

「巣ごもり」から飛び立つとき

​学生相談室カウンセラー 高石 恭子

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。在学生のみなさんは、コロナ禍でのキャンパスライフ、2年目に突入です。

1年前の春は、「ちょっとの我慢だ」とみんな思っていました。前期は、厳しい自粛生活(Stay Home)を迫られ、何とか前向きになろうと資格の勉強をしてみたり、自室でストレッチに励んだりしていた人もいたと思います。

後期が始まり、キャンパスへの入構制限も解除されて「やっと学生生活が送れる!」と喜んだのも束の間、ゲートで検温し、入構記録を欠かさず求められ、マスクをして授業を受け、距離を空けて座り、お喋りは控えて、用が済んだら速やかに帰りなさいと促される。

「こんなんじゃない!」と、騙された気分に陥った人も少なくなかったのではないでしょうか。今年もまだ、その状況は基本的に変わりません。ただ、1年のあいだに、大学も教職員も、そして学生のみなさんも、新たな挑戦をし、多くのことを学び、このような状況でもできるだけ安心と安全を守りながら過ごす方法を見つけ出しています。

とりわけ学生のみなさんが身につけたのは、ひとりの時間を楽しむ力、自分と向き合う力、弾けたいこころをコントロールする力、身近な人を思いやる力ではないでしょうか。

 私たち学生相談室のカウンセラーは、人が減り、換気のため窓を開放した静かな相談室で、ウグイスの声や、風や、水の流れの音に耳を澄まし、忘れていた自然の守りを思い出す経験をしました。

今年は、長く続いた「巣ごもり」から徐々に外に出て、リアルなキャンパスライフの比重が増えていく一年になりそうです。新入生や新2年生のみなさんにとっては、親の巣から飛び立つ雛鳥のように、急に世界が広がる経験が待っていることでしょう。

「巣ごもり」から飛び立つとき、それはしかし、さまざまな危険が待ち受けている瞬間でもあります。慣れない通学、マスク越しの仲間とのコミュニケーション、遠隔とはずいぶん違う対面での先生の指導、外から帰ったときの高齢の家族への気遣いなど、新たなストレスが降りかかります。

つらい変化も、嬉しい変化も、「変化」は等しくストレスでありリスクをはらむということを忘れずに、どうかみなさんそれぞれに、自分らしいキャンパスライフを無事スタートさせてほしいと願います。

 

そして、疲れたときにはぜひ、カウンセラーがメンテナンスに励んでいるキャンパス内の巣(学生相談室)に休みに来て下さい。

(No.86   2021年4月1日)

「何もしない」をしてみる

「何もしない」をしてみる

学生相談室カウンセラー 松本 知香

 初めまして。4月から新しく学生相談室のカウンセラーになりました、松本知香と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

4月に新年度が始まり、新入生の方は初めての大学生活に、在学生の方も久々の授業に、慣れてきましたか?去年に引き続き授業の形態も色々で、自分のリズムが掴めてきた人、まだまだ慣れない人、一日一日を乗り越えるだけで精いっぱいだという人、様々だと思います。

 

新年度のような区切りの時期は、新たな目標を掲げ、気持ちも新たに頑張ろう、と気を張っている人も多いのではないでしょうか。

 

5月という時期は、1か月間気を張って頑張って、ちょうどその疲れが出てくる頃ではないかなと思います。色んな事を頑張ろうとしすぎると、頭の中も心の中もいっぱいになってしまって、体調を崩してしまったり、もう無理!と心が悲鳴を上げてしまったりすることがあります。

 

そうなる前に、ぜひ、「何もしない」ことをしてみてください。

 

1日だけ、 “しなければならない”課題や家事などを一切せず、頭でも考えず、ただ夜寝て、朝起きて、ご飯を食べて、ぼーっとする。それか、自分の心が“やりたい”と感じることをする。

 

どうしても“しなければならないこと”で頭がいっぱいになってしまう人は、1日のうちの数時間だけでもいいです。

 

何も考えず、ごろごろしたり好きなスイーツを食べたりしながら、日ごろ頑張っている自分を労ってあげてください。そうすることで、また明日からも頑張ろうと思えるエネルギーが復活してくることと思います。

家や大学にいると、どうしても“しなければならないこと”を考えてしまう、という人は、学生相談室に来てみてはいかがでしょう。

 

一人でゆっくり過ごしたり、カウンセラーとお話しながら一緒に肩の荷を下ろしてみたり。

どうぞ、いつでもどなたでも、お越しくださいね。お待ちしています。

(No.87   2021年5月1日)

ネットピアニストたちの妙

ネットピアニストたちの妙

学生相談室カウンセラー 篠田亜美

 「おうち時間」という言葉が飛び交うようになってから早一年。私の最近の「おうち時間」は専らネットピアニストたちの鑑賞に費やされています。

 

“ネットピアニスト”とは、ピアノの演奏動画をアップしたり、生配信をしたり、ネット上でピアノの演奏活動をしている人たちを指す言葉のようです。

“ピアニスト”というと音楽系の大学で本格的な勉強をしてきた人たちのイメージがありますが、ネットピアニストたちの経歴は様々です。

 もちろん音大を卒業された方もいれば、音大を卒業後は普通の会社員になったけど退職してピアニストとして活動を再開した方、小さい頃は神童とまで言われるも師事した先生と合わずにピアノをやめてしまい、ゲーム音楽をきっかけにピアノを再開した方、音大の受験当日どうしても受験会場に足が向かずにその後4年間、アルバイトをしながら親に大学に通っているふりをし続け、ネットでの音楽活動を行っていた方など・・・。

 中でも、途中でピアノをやめた時期のあるピアニストたちは、配信でのお話などを聞いていると、きっとピアノを一時やめたからこそ今のネットでの活動があるのではないかなと思うことがあります。

 

音楽で大成するには、幼いころから日々長時間の練習が必要と聞きます。

そうやって幼いころから音楽に専念してきたとしたら、そこから方向転換するのはとても勇気が必要だったり、その当時は挫折と感じてしまったりしたかもしれません。

しかし、今、彼らが本当に楽しそうに演奏しているのを見ると、方向転換や一時撤退もありだなと感じます。更には、現在の世情の中、ネットという彼らの活動の場はとても有利でもあります。

実際、私は自粛期間中、彼らののびやかなピアノの音色に、とても救われました。もし彼らがピアノから一旦離れ、ネットの世界で演奏活動を始めることがなければ、こういった配信での演奏を耳にすることもなかったかもしれないと考えると、不思議な巡り合わせだなと思います。

 本格的な音楽ホールで行われるコンサートは少しハードルが高く感じますが、ストリーミング配信のライブだとスマホやPCから気軽に参加でき、チケット代も良心的なので、初心者にも参加しやすいです。

だけど、ピアノの音色の魅力を知ってしまった今では、いつか自由に対面のライブが開催される日々が戻ってきたら、今度は生の音を聴きに行ってみたいな、と思う今日この頃です。

(No.88   2021年6月4日)

身体の声を聴く

身体の声を聴く

学生相談室カウンセラー 豊原 響子

  先日夜道を歩いているときに、周りにあまり人もいなかったので、久しぶりにマスクを外してみました。するとどうでしょう、湿気を含んだ草木の匂いはとても鮮やかで、たった一枚の布があるかないかで、これだけものの感じ方は変わるのかと驚くばかりでした。

 

 身の回りの空気ひとつにこれだけ新鮮味をおぼえる日がくるとは、と思いつつ、胸いっぱいに空気を吸い込み、しみじみと味わいながら家路についたのをよく覚えています。

 

  さて、マスクが生活必需品となってから、早一年数ヶ月が経ちました。この生活にもう慣れ切ってしまった人、本当はマスクなんかつけたくない人、むしろマスクがある方が生活しやすい人などなど、マスクに対する思いはきっと人それぞれだろうと思います。それはきっと、コロナ禍での生活全般に言えることでもあるでしょう。

 

  考えてみれば、コロナ禍は私たちのこれまでの「当たり前」を揺さぶる事態の連続です。マスクなしで出歩くこと、大学で授業を受けること、誰かと食事をしながら語らうこと、そんな「当たり前」の生活が、ソーシャルディスタンスをはじめとした「新しい生活様式」へと移行せざるを得なくなりました。

 

  こうした様々な変化にも、もうだいぶ慣れてきたという人もいるかもしれません。

しかし、この先いつ何がどうなるのかわからないという状況は、本来それだけでも不安やストレスを生じさせるものです。

 

 加えて同級生や先輩後輩ともつながりを持ちにくいこの状況では、「こんな気持ちになるのは自分だけかな…」「みんな我慢しているんだから…」と思うあまり、無理をしてしんどさを抱え込んでしまうことも少なくありません。

 

  いつもよりも疲れが取れにくい、何もやる気が起きない、ぐっすり眠れない…このような状態は、身体からのSOSのサインです。

 

 そこまでいかなくても、肩や首が凝っていたり、呼吸が浅くなっていたりしていませんか。ぜひ一度ゆったりと自分のための時間をとって、身体の声を聴いてみてはいかがでしょうか。

 

 近所のお散歩、深呼吸、ストレッチなどなど、単純なことでも、意外な発見があるかもしれません。

(No.89   2021年7月1日)

無駄を大事に

 無駄を大事に

学生相談室カウンセラー 西浦 太郎

 皆さん、9月に入りましたが、いかがお過ごしですか?

 

 2021年の前期は、最初は対面授業があり、その後、オンライン授業、そして最後は対面に戻るという状況でした。

 大学に入って間もない1年生や、昨年からコロナの影響を大きく受けた2年生の皆さんは、なかなかキャンパスでの大学生活を体験することが難しく、ご苦労されていると思います。

 

 このような状況では「自分だけが人よりも遅れているのではないか」、「人よりも単位が取れていない、知らないことが多い」と不安になりがちです。

 

 ただ、ここ2年間は例年とはかなり状況が違い、わからないことが出てくるのは当然ですので、自分の思っていることや不安、疑問を大学や周りの人や、学生相談室のカウンセラーに是非、聞いてみて下さい。

 また、3年生・4年生は単位取得や就職活動で忙しくされてきたと思います。就職活動は長期戦ですので思わぬところでストレスや疲れが溜まります。

 

 就職活動がなかなかうまく行かないことで思い悩んでいる方もいるかもしれません。このようなときもカウンセラーが一緒にできることを考えてくれると思います。

 今は夏休みで残り二週間程あります。皆さん、教習所に行ったり、バイト・部活・サークル活動をしたり色々な過ごし方をしているかと思います。

 しかし、先程述べた不安やストレスを抱えていると、「休みのうちに勉強して取り戻さねば」「今こそ頑張らねば」と休みを休みとして過ごしにくくなりがちです。

 私が学生の頃は、あまり予定を立てず、ぼーっと1日を過ごし、気づくと夕方、そして後期開始・・・嗚呼・・・ということが多かったです。

 

 休み中は時々、友達とふらっと会ったりしましたが、その時、友達の何気ない一言や、だらだらと見たテレビ、夕方に寝転びながら読んだ本の内容はなぜか今でもよく覚えています。

そして、その時間が今の自分を形作っている気もするような気もします。

今は、IT全盛の時代になり、昔に比べて変な忙しさが増えました。ただ逆に、今のように忙しく過ごしていると毎日が動画の早送りのように過ぎてしまい、どこか味気なく、体験も記憶も自分の中にあまり残らない気がします。

 

 多分、毎日のスピードが速く、予定を詰め込みすぎると、色々とやっているようでも、動いている気になっているだけで、実際、心が動かいておらず自分と相手との関係や接点が生まれにくいからかもしれません。

 

 今こそ、ぼーっと過ごすときなのかもしれません。

​(No.90 2021年9月10日)

「常二備ヘヨ」

「常二備ヘヨ」

―平生釟三郎のことばー

学生相談室カウンセラー 友久茂子

「常二備ヘヨ」はどこかで見たことのある言葉ですが、皆さん知っていますか。そう、これは甲南大学一号館前の記念碑に刻まれたことばです。

この記念碑は1995年阪神淡路大震災の後、震災により学生・卒業生ら38名の尊い命を失い学園関係者等の甚大な被害を出し、多くの施設を失った甲南学園の決意として建てられたものです。

 

 もともとは1938年の阪神大水害で大きな被害を受けた甲南学園が復旧に立ち上がる時、当時の旧制甲南中高生に、本学創設者・平生釟三郎が訓示したことばだそうです。

 

1918年から2年間ほどは「スペイン風邪」と呼ばれたインフルエンザのパンデミックが起こっていますが、平生は1918年に甲南中学を、1923年には旧制甲南高校を設立し、彼が社会的に最も活躍し始めた頃です。

 

また家庭的にも次々と子どもに恵まれていますが、同時に突然の病に襲われ亡くなったご家族もおられたようです。

 

おそらくワクチンや治療薬が未発達な時代に、平生は感染症などにより、愛する家族を次々と失う悲しみを経験し、さらにその20年後には阪神大水害で甲南学園が壊滅的な被害を受けて深く心を痛めたと思います。

 

このように平生の人生をたどると、「常二備へヨ」ということばは、平生の華々しい活躍の陰に隠れた、負の体験からしぼりだされた実感と言えるでしょう。

 

 私たちは新しい感染症コロナにより、2年近く不自由な生活を強いられていましたが、10月に入って緊急事態宣言は解除され、自由な日常を取り戻したかに見えます。

 

しかし、地球環境の変化によって、今後はより頻繁に大災害は引き起こされ、新しい感染症が生みだされ、私たちを脅かすことも予測されています。平生の「常二備へヨ」は今こそ私たちが心に留めておきたいことばです。

 

ただし常に備えるためには、適切なリフレッシュが必要なことも忘れないで下さい。

 

​(No.91 2021年10月22日)

扉にぶつかったコゲラ

扉にぶつかったコゲラ

学生相談室カウンセラー 青柳 寛之

 

 先日、ガラスのドアに小さな鳥がぶつかったらしく、地面にうずくまっているというので、呼ばれて行きました。小さな鳥は目を開いて呼吸をしていましたが、動けないようでした。

 

人が集まり、私が何か決めないといけなさそうな状況でした。もしひな鳥の場合は、近くに親鳥がいることが多いので、触れない方がいいと言われています。

 

調べると「コゲラ」の成鳥のようでした。身体の小さなキツツキで、公園などでも見かけることがあります。

 

コゲラとわかったものの、さてどうしたものか。

 

拾って動物病院に届けるか・・・?

 

しかし、手を出すと強いストレスになりそうです。周りにいる人間におびえているようにも見えます。困って見ていると、頭が少し動いたように見えました。

 

衝突したショックで身体が動かないだけかもしれませんが、確信はありません。周りの人と何やかやと話をしながら見ていると、頭が動く範囲が少し大きくなっています。

 

もうしばらくそのまま見ていると、溜めの動作もなく、コゲラはあっという間に飛び去りました。

 

やはり衝突のショックで動けなかったのでしょう。手を出さなくてよかったと思いました。

 

人間に触れられるストレスが害になったかもしれません。

 

 ひと安心したところで、「見守る」ことについて考えました。相手は鳥でしたが、人とのことでも重なる部分があるでしょう。

 

今回、結果的には自力での回復をあまり邪魔することなく「見守る」ことができました。しかしもし骨が折れていたりしたら、自力では回復できません。

 

何かしないといけないのではないか、ということはずっと頭にあり、そのプレッシャーはかなりのものでした。

 

結局は何もできなかったというのが正直なところなのですが、コゲラの頭の動きに目が行ったのは幸運でした。

 

「ひょっとしたら自力回復するかも」と、もう少し様子を見る方に少しだけ傾いたからです。偶然の結果オーライとはいえ、ハラハラしながら相手の状態に注意を払ったことで、よい方向に至ったと思いたいところです。

 

この出来事があってから、木をつつくような音に、よく注意が向くようになりました。

 

元気でいてくれることを願っています。

                            

(No.92 2021年12月1日)

身近なグリーンを楽しんでみませんか?②

身近なグリーンを楽しんでみませんか?②

学生相談室カウンセラー 松本知子

 昨年のリレーエッセイで「身近なグリーンを楽しんでみませんか?」というタイトルで、料理に使った野菜を水耕栽培で育ててみること(リボーン・ベジタブル、略してリボベジ)をオススメしました。その続編になります。

 朝晩、水を替えるだけというお手軽さが私にはぴったりで、エッセイを書いた後も続けていました。と言っても夏場は室温が高くなりすぎてしまうので、上手く育たないかと思います。寒い時期は部屋の中なので、案外大丈夫なので、今から始めていいと思います。

カブ育て始め

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 これはカブです。最初はこんな所から始めています。

わずかにある葉の部分を育てていく形です。本当に伸びていくのか半信半疑になるでしょうが、元々は料理に使った残りの所なので、育たなくても気にせずにいましょう。

カブ成長中

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 毎日、朝晩と水を替えながら観察していきます。少しずつ伸びてきているのが分かると、励みになりますよね。

こんなに生命力って強いのかと感動しませんか?

カブ更に成長中

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水を替えるのが習慣になっていくと、もう夢中になっている証拠です。

 

こんな風に大きくなりました。ちなみに葉が出てこない部分は少しずつ干からびていって取れていきます。この画像では伸びていっている所のみになっています。

葉が濃く、大きくなっていますよね。

カブの花が咲いた!

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更に育てていくと、蕾(つぼみ)が出来ていって、ついに花が咲きました!

達成感があります。そして、黄色いお花かわいいですよね。

 

写真をつい撮ってしまいます。

 

最初の頃と見比べると、まさかここまで育って花が咲くとは、と信じられない気持ちになりませんか?

 こんな風に夢中になっていると、スマホの画像が成長観察画像で一杯になってしまいます。でも、明らかな変化は見飽きません。自分で育てながらも、どこか信じられない気持ちにもなります。

大根の花

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 そして、これは大根の花です。大根も花が咲きました。白い花です。

これもかわいくて、蕾(つぼみ)ができてからどんな花が咲くのか楽しみにしてきました。

 今回、カブと大根と花を咲かせることができて大満足でした。これを読んで興味を持った方は気軽にトライしてみてくださいね。

(No.93 2022年1月11日)

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