お食事 エッセイ
食に関するカウンセラーのエッセイをご紹介します。
つくって食べて
学生相談室カウンセラー 豊原響子
暑い日が増えてきた今日この頃ですが、食欲が落ちたり生活リズムが乱れたりしていませんか。
このエッセイでは、あまり普段は自炊をしないひとにも取り組みやすいような簡単なお料理を紹介してみたいと思います。簡単なものでも、自分でつくったお料理はなかなかいいものですよ。
さて、突然ですが、昨日の夜あなたは何を食べましたか?
家で過ごす時間が長くなっているなかで、食べることがささやかな楽しみのひとつになっているひとも少なくないのではないでしょうか。食べることは、わたしたちが生きてゆくうえでの栄養を摂取するために必要不可欠な営みです。だからこそ、食べることがごくごく自然に生活の一部に組み込まれていて、昨日の夜の献立が何だったかあまり思い出せないひともいるかもしれません。
あるいは昔食べたとってもおいしかったもののことが、ずっと忘れられないというひともいるかもしれません。これまでのいろいろな食事の場面を思い浮かべると、食べることとはただ栄養を摂取するためだけの営みではなく、とても人間的で文化的な営みでもあるように思われます。
例えば、コミュニケーションをとるうえで食事が大切な役割を果たすこともあります。新入生を歓迎するときや大切な行事が終わったあとなどには、たいてい「歓迎会」や「打ち上げ」と称する飲み会や食事会が開かれますね。食べたものについて「おいしいね」「それはどんな味?」などとやりとりすることで、より親密な関係が結ばれていくのかもしれません。
ただ、今は皆さんご存知の通り、新型コロナウイルスへの感染対策のために、リアルの場でそれを実現することは残念ながら難しい状況です。代わりにオンライン飲み会がよく開催されているようですが、そこでは食べることの位置づけはどうなるのでしょうか。これは皆さんにもご意見をうかがってみたいところです。
さて、食べることにまつわるもうひとつ大切なこととして、味わって楽しむという側面があります。これはひとりでも、今からでもできることです。そして自分の手で調理したものを食べることは、いっそう創造的で刺激的な営みです。
今はコンビニやスーパーでおいしいものが手軽に手に入る時代ですから、必要に応じてそれらを利用することもよいでしょう。ただ、自宅で過ごす時間が増えている今、一人暮らしのひとは自分のために、あるいはいつか誰かと一緒に食べるために、ちょっとした料理に取り組んでみるのはいかがでしょうか。家族と暮らしているひとにも、ときには自分の手でこしらえたお料理を味わってみてもらえたらと思います。
卵かけごはんだって立派な料理ですし、何日かに1回でも十分です。家族と暮らしているひとは、家族にふるまってみるのもいいかもしれません。たとえ少し失敗しても、また次に改善すれば大丈夫です。
まずは気楽に、簡単なことから一緒に始めてみませんか。
等身大の、おいしいごはんを食べましょう。